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102歳で天に召された萩焼の人間国宝・三輪壽雪(11代 休雪)氏から学ぶ健康長寿の秘訣

 三輪壽雪氏ご本人の談話と三男で陶芸家の和彦さんから直接お聞きしたことなどを元にして、三輪壽雪氏の健康長寿法の要点をまとめてみました。これを参考にして、皆さまも健康で長生きして下さい。
 氏の作品と健康長寿が本当に素晴らしく、まさに私の趣味と仕事の上で尊敬の的です。類稀な長寿にあやかり、私は氏の作品の茶碗で、よく抹茶を飲んでおります。普通ではなかなか到達できない年齢ですが、百歳になった人のことを『百寿者』、英語ではCentenarianと呼びます。氏はそれを超えておられますので、おめでたい限りです。心からお祝い申し上げます。さらにその上の茶寿(108歳)、皇寿 (111歳)、大還暦(120歳)、そして前人未到の長寿世界一へと、もっともっと長生きしていただきたかったです。

祝 102歳誕生日

102歳の誕生日(2012年2月4日)にお元気で萩市のご自宅でくつろぐ三輪壽雪氏


ご略歴の要点

 三輪窯の家歴には、先祖が大和国三輪の里(現在の奈良県桜井市内)から萩に来住したとされており、先祖の墓地の傍に日本最古の神社の三輪神社があります。この神社の御神体は三輪山です。工房には三輪神社のご神符を祭り、毎朝拝礼の後に製作にかかるとのこと。

1910年2月4日   三輪家9代雪堂の三男として生まれる
1927年〜  兄の10代休雪に師事する
1941年〜  川喜田半泥子に師事する
1967年  兄が隠居して休和と号し11代休雪を襲名
1983年  人間国宝となる
2003年  壽雪と号する
2012年12月11日  102歳 で天寿を全うされる


三輪壽雪氏の健康長寿の秘訣

  • 家系的に、若い時に父親や兄弟みな体が弱かった(特に胃腸)。氏は、20歳くらいの頃に非常に胃腸が悪く、このままでは長生きできないと思い、自分なりの健康法を考え出した。すなわち、朝4時半頃に起床し、すぐに自分で考案した体操と全身マッサージを1時間半もする。
  • さらに1時間くらい畑仕事もする。300坪に及ぶ菜園を持ち、無農薬栽培に徹底してきた。市販の野菜は、農薬、化学肥料、除虫剤がかかっていることもあるから食べない。自分で作った虫食いのある自然のままの野菜を食する主義である。ドレッシングはかけない。菜食主義は30代ころからの習慣である。
  • そして、冷水を2杯飲んでから朝食。体操や畑仕事をたっぷりした後なので、腹が減って朝食がうまいとのこと。朝はパン、牛乳、野菜と果物。パンも自家製で塩分抜きの無味無臭のもの。
  • 昼食兼夕食は、ご飯、海草、野菜(茹でただけのもの)、豆腐、刺身、小さな魚など。
  • 肉類や油類は、ほとんど摂ることはない。
  • 刺激物は口にしない
  • 酒・タバコはやらない
  • 風呂は、普通の人よりも長い。膝、腰、最後に首までと、順に3段階くらいに分けて、ゆっくりと入る。特に寒い季節に、一気に熱い風呂に首まで入るのは体に悪い。
  • 夜9時半頃に就寝
  • 冷暖房機を使わない。夏は扇風機ですませ、冬でも障子は開けっ放し。そして新幹線や空気の悪さと人ごみの東京が苦手である。
  • 『健康第一。体調は作品に表れるので、体調の悪いときにいくら頑張っても良いものはできん。健康は基本じゃ。』

以上に対する私のコメント:若い時に体がかなり弱く、そのままでは長生きできないからと独自の健康法を考案し、以来ずっと毎日それを実行してこられた結果、長命なのだと思います。氏の場合は、体が弱かったことが、かえって長生きにつながったのでしょう。この逆のケースもよくありますので、体が丈夫で健康に自身があり、働き過ぎ、人間ドックを受けないような人は十分に注意して下さい。下手すると働き盛りにポックリ逝きますよ!



三輪壽雪氏の作品の紹介

 『茶禅一味』の色紙: 研究室の壁に掛けてあり、三輪壽雪氏のことを思いながら、いつも眺めています。

この書の意味: 茶道と禅道は、その行ずるところの形相や作用は異なるが、人間形成の道という根本の精神からみれば、両者は不二一如であるという説。(淡交社 新版 茶道大事典から引用)


 この写真の掛軸と萩花入が氏の作品。香合は荒川豊蔵作、香炉は仁清作。掛軸は『無事是貴人』(ぶじこれきにん)と書いてあり、その意味は『いささかも作為することなく自然に働き出す境涯を得て、はじめて是れ真の道人・貴人というものだ』というようなこと。(淡交社 新版 茶道大事典から引用)

山口県萩市から見た日本海の荒海をイメージして作ったそうで男性的で力強く大きな茶碗。
毛利家のために茶道具を作る御用窯として始まり、300年以上の伝統を有する三輪家の伝統を受け継ぎながら、氏が独自の形を表現しようとして、ついに75歳の頃にたどり着いたのがこの鬼萩。繊細優美なものよりも、荒削りで力強いものが好きな氏にとって、砂や小石を混ぜた粗い土で作るこの鬼萩が氏の内面を映し出せる姿なのです。ろくろを引く時に、小石のために指先に血がにじむこともあるらしい。これこそまさに氏の化身とも言える茶碗ですが、直径が約16cm、重さは553gもあり、女性のか細い手にはやや扱いにくいかもわかりません。比較のために書きますと、次の茶碗は、直径が約13cm、重さは288gです。















茶人が好む『一楽・二萩・三唐津』にふさわしい萩茶碗
 これは使い込むに従って次第に味わいが出てくる『萩の七化け』といわれている変化がよく出てくるので、使っていて楽しい茶碗です。個人的には、茶碗では『志野』と『萩』が特に好きです。筆者は、自分で萩釉の茶碗も作ります。ホームページの『抹茶茶碗について』に掲載の萩釉茶碗『銘: 初雪』を参照して下さい。




総合的に使いやすくて氏の作品中では筆者が一番愛用している萩茶碗

夏用の萩茶碗




これは萩焼の花入としては 非常に気に入っているもの

耳付萩花入

耳付白萩花入

萩 一輪生
(箱書きに記載の原文のまま)

 一般に花入は『伊賀』と『備前』が特にいいですね。花入は、自己主張し過ぎず、花の引き立て役にならないといけません。
【注:茶道の世界では、花瓶のことを花入(はないれ)と呼びます。】


手付鉢

以上は全て三輪壽雪氏の作品




氏の健康法を教えてもらった三男の和彦さん作の白萩四方ぐいのみ





その内側の底に金のウサギが付いており月見の酒宴などに用いております。和彦さんの作品は、古い萩焼の伝統の上にモダンアートの息吹を吹き込んだユニークなものが多いようです。


 
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